「日本人はクリスマスも正月も祝うから特殊だよ」説はいいかげんやめよう

日本人は、クリスマス(キリスト教)も正月(神道?)も除夜の鐘(仏教)も参加し、仏閣にも神社にも教会にも行くから、宗教的に寛容で世界的に珍しいよという説について。いい加減やめませんか?

まずキリスト教が余り信じられていない国でキリスト教由来の行事を祝うのが特殊かについて。
私が知る限り、エジプト(イスラム教国)や中国や台湾やタイで普通に祝われている。
ついでにいうと、エジプトにはコプト教クリスマスが別の日にあるが、12月25日の西洋式クリスマスには、プレゼントを送り合いパーティーを開きノンアルコールのシャンパンまがいを飲むことが若者を中心に行われているらしい。
日本でクリスマスが宗教行事として認知されているという前提がこの「宗教に寛容だろう論」には必要だが、日本ではクリスマスは「アメリカの資本主義の祭典」としか思われていない。
「日本人はクリスマスがキリスト教起源だと知っているはずだ」という反論があるかもしれない。しかしそれを言うのなら、多くの人間がクリスマスの元を遡れば異教に行き着くということだって知っているだろう。由来を意識するのと、それの現在をどう評価するかということは全然別の行為である。

次に神道と仏教の共存、言い換えれば違う原則で動いている宗教の共存について言えば、「シンクレティズム」なんてことばがあるくらいだしちっとも珍しいことではない。
中国では「三教帰一」という儒教と仏教と道教の融和を説く教えが広まっていたし、この三つの宗教は中国において時に補いあい時に衝突しながらも共存してきた。
キリスト教世界やイスラム教世界でも、正規の教義と明らかに矛盾する土着の教えが存在してきた。

というわけで、全然日本は特殊なんかじゃない。